2009年11月19日木曜日

ダウンロード

■ここ1ヶ月くらい、ずいぶんアルバムをダウンロードしてるわけだけど、CDを買うペースも特に減ったわけではないので、もう膨大な量の音楽がつぎからつぎへと現れては消えて行くという感じなのだ。
そんな中で繰り返し聴きたくなるものというのは本当に限られてくる。
確率ではだいたい1/20くらいか、いや、もっと少ない感じか。
ダウンロード時代になってからというもの、アルバムの存在感というのもずいぶん軽くなったもんだ。

小学生〜中学生の頃は、LPレコードなんてせいぜい月に1枚か2枚買うのが限度。
他に聴きたければラジオからエアチェックするしかない。
だもんで、買ったレコードはそれこそ死ぬほど繰り返し聴くことになる。
その当時買ったレコードは今でも隅々まで覚えてたりする。
だって何ヶ月も(あるいは何年も)同じレコードを繰り返し聴いてたりするのだ。
ということは、間違って変なレコードを選んでしまったらそれを暗記するほど聴くことになる。
よく考えればかなり恐ろしい話だが(笑)、今から見ると、奇跡的にもあまり「変なレコード」は選んでいない(まあ、何が「変なレコード」なのかはあえて伏せる…笑)。
変なレコードは選んでないと言い切れるということは、つまり自分はその頃からずっと一貫しているということでもある。

もし今の時代に自分が10代だったら、同じようにある音楽を繰り返し聴くだろうか。
つぎからつぎへと安くあるいはタダでダウンロード出来る時代にわざわざひとつの楽曲を何度も聴くというのは相当難しいのではないか。
昔はちょっとでも気に入らない曲であっても最低30回は聴くハメになったし、だいたい30回も聴けばその良さが分かってきたものだが、今はちょっとでも気に入らなければ違う曲を選ぶのではないだろうか。

僕の印象では、同じ音楽をしつこいくらい聴きつづけると、なにやら不思議な感覚へとトリップする。
妙なブレイクスルーが起こる。
僕は昔から何故だか音に色と形がついていることが多いのだが(特に形)、同じ音楽を何度も聴くとその音楽の色と形の風景が明確になる。
抽象的だった形が具体的なものになることもある。
そしてその中に自分が入り込むことが出来るようになる。
僕の場合少し変かもしれないけど、それはそれで豊かな音楽体験なのだ。
まあ、そんなことはどうでもいいんだけど…。

アルバムの存在感が薄くなってしまったのは何だが寂しいものがあるけど、そもそもアルバムという単位で音楽を捉えていたのは20世紀後半特有の文化だった、なんてことになるんだろうな…。