2010年2月18日木曜日

エッセイ

■中学生のとき片岡義男の文庫本を何冊か持っていた。
片岡義男の小説には特に興味が無かったが、気分だけは伝わってきて、それが心地よかったのを今でもおぼえている。
しかしながらストーリは全く覚えて無い、ってほどに興味が無かった。
ところがエッセイ本となると俄然面白くなる。
この作家のエッセイは植草甚一直系で、どんなものでも70年代宝島的な独特の雰囲気を持っている。
そんなわけで片岡義男のエッセイ本は今でも大好きなのだ。

ところで昔の片岡義男の文庫といえば、角川文庫の赤いデザインのもの。
これが今は何故かすべて絶版(角川文庫だけで100冊以上あるらしい)。
せめてエッセイだけでも全部文庫で復刊してくれないものか(ほとんど持ってるけど)。
エッセイは今でもぜんぜん通用する内容だ。

で、その片岡義男の最新エッセイ本「ピーナツ・バターで始める朝」(東京書籍)を今読んでるのだが、これがまた面白い。
いい意味で切り口が昔からぜんぜん変わらない。
ここに「草枕」に関するエッセイも載っていて、これがまたなんとも素晴らしい。
「草枕」の読み方は僕とはぜんぜん違うけど、そんなことは関係無いのだ。
那美さんが見せた「ほんの一瞬の純粋な心の動き」について書いてある。
僕は那美さんの心にフォーカスしたことは一度も無い(実際そんなことはどうでもいい)。